徳原真人のガーデニングABC
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ガーデニングABC

 第64回 夏の暑さに強い花壇草

今年の夏は猛暑続きかと思っていたので、7月下旬の雨は予想外でした。
新潟地方等、豪雨に見舞われた方々には、お見舞い申し上げます。

私の住む関東地方においても、今年は少し植物の咲き方に異変が見られます。
通常5月下旬に咲いたデルフィニウムは、切り戻してもその年の夏に2度目の花を付ける事は稀ですが、今年は横浜でも栃木でも、明るい落葉樹の下で60cm程のステム(茎)を上げて涼しそうに二番花が咲いています。北海道では、かなり立派に咲いている姿を見かけました。

8月はどうなるのか、最近の天気は予測がつきませんね。昨年のような猛暑だと、植物はほとんどお休みになってしまします。 先週の雨で蒸れたペチュニアなどを植え替えようとしても、植え付け後の灌水を十分に行なわないと植えつけた苗の根は周辺に伸びていきません。根を伸ばしていくためには、特に夕方以降、地温を上昇させないことが重要です。今は朝5時半くらいから陽が出ているので、この時期に限っては、朝方に灌水するよりも夕方に十分灌水する方が良いと思われます。

この時期(8月)に植替えなどをしなくて済むように、6月号でもお伝えしましたが切り戻しを早めに行なうことをお勧めします。
ここで、夏に強いお勧めの植物を数種紹介します。

夏の暑さに強いお勧め花壇草

■ニコチアナ(ハナタバコ)

暑さに強く、且つ涼しそうに見えるのが『ニコチアナ(ハナタバコ)』です。ドワーフ性(草丈が低い)の一年草と組み合わせたり、下の写真の様にクレオメ等と組み合わせたりすると涼しそうです。
中心の花茎の花が咲き終えたら、茎の下から1/3くらいで切り詰めると、右下の写真の様に3週間くらいでまた花芽が成長して咲いてきます。下から思い切って切り詰めると、太くて元気な脇芽が立ち上がってきます。脇芽が成長すれば、ニコチアナは乾きにも強い植物ですが、切り詰め直後は乾燥に弱いので、十分な灌水を心がけてください。

クレオメとニコチアナクレオメとニコチアナ ニコチアナニコチアナ ピンチ後半月経過

■アノダ

アノダアノダ

次にお勧めの植物が『アノダ(タチアオイの仲間)』です。タチアオイ(ホリホック)は、夏休みに入る頃には咲き終えてしまいますが、アノダは10月頃まで次々に咲き続けます。
白花やうすい赤紫の種類があり、花は500円玉くらいの輪で花の付き方がとても涼しそうです。草丈は70cm〜120cmくらいで脇芽が出やすいので、ピンチすることによって高さを自由に調整できます。小輪系のマリーゴールドやカクタス咲きのアスター、アゲラタムなどと意匠的に合うと思います。

アゲラタムが出てきたので、お話しておきますが、園芸店で出回っているのは、通常こんもりしたドワーフ性の品種です。茎が数本40cmくらいに立ち上げる高性種(アゲラタム トップブルー)等が蒸れにも強くお勧めです。


■カリオプテリス、フィゲリウス、シモツケ

多くの雑誌で、夏の定番材料として『シロタエギク』や『ハツユキソウ』、『コリウス』などが紹介されていますね。私も使いどころによってはとても効果的でよい材料だと思います。今年はシロタエギクのシルバーダストとデルフィニウム ブルーミラーを、花壇に市松模様状に植栽しましたが、とても綺麗でした。おまけに、D.ブルーミラーは4割くらいの株に今二番花を咲かせています。

カリオプテリスカリオプテリス・白斑葉種

白斑の入った葉を鑑賞するものですが、カリガネソウの園芸種『カリオプテリス』は特にお勧めです。風になびく柔らかな葉がなんとも涼しそうです。宿根草ですが、フィゲリウスの赤花と似合うと思います。『フィゲリウス』は、茎が木化するので高くも低めにも作れますが、高いものでは140cmくらいの背丈にはなると思います。花壇の芯に植えてその回りにカリオプテリスやシモツケなどを植えたら、とても涼しそうですよ。


フィゲリウス 花拡大フィゲリウス 花拡大 フィゲリウス草姿フィゲリウス草姿

シモツケシモツケ

ちなみに、『シモツケ』は最初の発見地栃木県(下野)に由来するらしく、私としても馴染み深い植物です。シモツケは、半陰地でも日向でもどちらにも向きますので、他の植物との組合わせが自由です。ただし木本なので、植栽する時は、後のことを考えてレイアウトをしてください。


■チトニア(メキシコヒマワリ)

チトニアチトニア

最後に、暑さと乾きにめっぽう強い『チトニア(メキシコヒマワリ)』を紹介します。インカ帝国の国花と言われていたようで、夏の暑さにぴったりですね。このビビットな花とクレオメやガウラなどの爽やかな花とあわせると、その対比がとっても面白いと思います。
苗が50cmくらいに育ったところで、芯を1/3くらいピンチすると横に広がって花数も多くなり管理勝手が良いと思います。順調に育てば葉張り80cm〜100cmくらいになるのでやや広い空間に向きます。


それでは、みなさま暑さに気をつけて楽しい夏休みをお過ごしください。


Bloom Field
株式会社アイ・アンド・プラス Bloom Field事業部